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【DeFi】インパーマネントロスとは?流動性プールのリスクを解説
Uniswapなどの分散型取引所では暗号資産を貸し出して手数料を稼ぐことができます。
手軽に参加できて手数料収入がかなり良いため、流動性プールに投資をしている方も多いのではないでしょうか?
しかしリターンが大きいという事は、当然リスクも大きいのです。
今回は流動性プールに投資する際の大きなリスクの一つ、インパーマネントロスについて説明します。
DeFiトレーディングを始める上でのポイントを押さえて、リスク管理を徹底しましょう!
インパーマネントロス?
インパーマネントロスって何?
インパーマネントロスは直訳すると“永遠ではない損失”、つまり“一時的な損失”です。
あなたはが流動性プールに預けた暗号資産の価値が、ただ単に保有した場合に比べて減ってしまう状況になることを指します。
ここで、ざっと流動性プールの仕組みを見ておきましょう。
流動性プールの仕組み
あなたがLP(流動性提供者)になって暗号資産を流動性プールに貸し出すとします。
流動性プールにはAとBの2種類の暗号資産が入っていますので、貸し出すのは2種類の暗号資産をほぼ同価値分貸し出します。
暗号資産を交換したいユーザーは、あなたの貸し出した暗号資産を使って交換をします。
そのため、交換されるたびにあなたの暗号資産の枚数が増えたり減ったりします。
暗号資産交換用に貸し出すんだね!
インパーマネントロス発生の仕組み
ご存じの通り暗号資産は価格変動が激しく、その価値も上がったり下がったりします。
例えばAの暗号資産に人気が出て、需要が高まったとします。
需要の多い暗号資産が買われるため、プール内ではAの枚数が減り続け、Bの枚数は増え続けます。
あなたが貸し出した暗号資産も当然Aが減り、Bが増えた状態になります。
需要の増えたAの価値は当然上がりますが、Bの価値が下がるか変わらない場合、あなたの貸し出した暗号資産のトータル価値は減ることになります。
投資した方が損をする状況をインパーマネントロスといいます。
一時的な損失と言うのは、このまま預け続ければ状況が変わって損がなくなる可能性があるからです。
もちろん、手数料収入がこの損失を上回っているなら問題ありません。
このインパーマネントロスは実はかなりの確率で発生します。
これは流動性プールとその価格を管理するAMM(自動マーケットメーカー)の性質上、仕方のない事なのです。
インパーマネントロスによる損失は、貸し出した暗号資産AとBの価格差が広がれば、その分大きくなります。
貸したのに損をするの?
インパーマネントロスの発生頻度は?
インパーマネントロスが発生しない条件として、暗号資産AとBの価値が変わらないか、もしくはAとBどちらとも同じ割合で価値が上がるか下がるかしかありません。
当然両方の価値が下がると実質損をしてしまうのですが…。
結果、程度に差はありますが、多くの場合でインパーマネントロスが発生します。
大きな損失は避けたいな…
インパーマネントロスの計算方法
それではインパーマネントロスを実際に計算してみます。
【流動性プールに投資を始めた時の状況】
あなたは流動性プールへの投資を開始しました。
流動性プールにイーサリアムとUSDCを投資することにしました。
この時の暗号資産の価値は1ETH=$1,000、1USDC=$1とします。
流動性プールには同じ価値の分だけ暗号資産が入るため、あなたは1ETHと1,000USDCをプールに入れました。
最初にプールに入れた暗号資産の価値は合計$2,000です。
プールにはあなたが投資した暗号資産だけが入っている事にします。
【流動性プール内の暗号資産の枚数を再計算】
イーサリアムが人気になり、値段が1ETH=$1,000から$1,400になりました。
イーサリアムが人気になり、値段が1ETH=$1,000から$1,400になりました。
USDCの価値はかわらず$1のままです。
この時、プール内のイーサリアムが安いため、他の交換所で転売しようとイーサリアムが買われます。
DEX(分散型取引所)によってはアービトラージプログラムによって自動調整される場合もあります。
ではイーサリアムはどこまで、買われるのでしょうか?
イーサリアムの枚数は √(X×Y÷R)の公式に当てはめれば、計算できます。
USDCの枚数はAMM(自動マーケットメーカー)によりX×Y=Kで自動計算されます。
この場合、Xはイーサリアムの枚数、YはUSDCの枚数、Rは価格の比率(Xの価格÷Yの価格)表します。
【枚数を計算する】
イーサリアム | USDC | 価格の比率(R) | |
投資開始時 | $1,000 | $1 | 1,000 |
値上り後 | ↑ | $1,400$1 | 1,400 |
投資開始時のRは1,000でしたが、この時点でのRは1,400になっています。
公式に当てはめて計算します。
X(イーサリアムの枚数) = √(X×Y÷R)
= √(1×1,000÷1,400)
≒ √0.714
≒ 0.845枚
Y(USDCの枚数) = 1000÷0.845
≒ 1,183枚
ふたつの暗号資産の価値が投資開始時より変化しましたので、インパーマネントロスが発生します。
価値に差が出ると、プール内の枚数が変わるんだね
【インパーマネントロスの計算】
インパーマネントロスによる損失額がどのくらいだったのか計算してみます。
Aさんの流動性プールの初期投資は$2,000ドルでした。
イーサリアムの値上がりによるAさんのプール内の資産価値は以下の通りです。
イーサリアムの価値 $1,400×0.845枚=$1,183
USDCの価値 $1×1,183枚=$1,183
プール内の暗号資産の価値 $1,183+$1,183=$2,386
Aさんの資産価値は$2,386になりました。
一見すると儲かっているように見えますが、今度はプールに投資せずに持っていた場合の資産価値を計算してみましょう。
イーサリアムの価値 $1,400×1枚=$1,400
USDCの価値 $1×1,000枚=$1,000
暗号資産の価値 $1,400+$1,000=$2,400
投資しなかった場合は、$2,400になります。
投資した場合としなかった場合の差額は…
$2,400-$2,386=$14
つまりAさんは投資しなかった時に比べて$14損をしてしまったのです。
この損失がインパーマネントロスです。
ただし、Aさんには両替手数料が入ってきますので、インパーマネントロスの額より多く稼げていれば投資した方が特になります。
インパーマネントロスを軽減する方法
インパーマネントロスは貸し出している2つの暗号資産の価格差が大きくなるほど、損失が拡大します。
プールへの投資をやめなければ損失は確定しないので、その間に価格差がなくなれば損失もなくなります。
そのために、価格変動の少ない暗号資産のペアを選択するのが有効だと言われています。
暗号資産にはステーブルコインという価格安定させることを目的としたコインがあります。
ステーブルコインは米ドルや金などに価格連動するようにデザインされています。
こういったステーブルコイン同士を貸し出すことで、インパーマネントロスを防ぐことができます。
選ぶとすると米ドルに連動したUSDC(時価総額5位)、USDT(時価総額3位)のペアが流通量も多く安心です。
実際に過去5年分の価格変動のチャートを見てみましょう。
多少上下することもありますが、1.000付近を中心に価格が安定しているのがわかります。
Uniswapの流動性プールV3では、価格範囲を狭めればそれだけ資金効率(手数料収入)が上がるので、効果的に運用できそうです。
ただし、ドル連動型の暗号資産も絶対ではありません。
2022年にはテラUSDというドル連動型暗号資産が暴落し、1ドルの価値が10セント台まで暴落する事件がありました。
現在の価格は$0.000092程度になっています。
当時テラUSDはステーブルコインとしては供給量で第3位であり、ステーブルコイン発行量の10%を占めていました。
そのような暗号資産でも、決して安定しているとは言えないのです。
※上記のデータは全て2023年6月時点のものです。
なるほど、そういった方法もあるんだね!
インパーマネントロスを自動で計算する
インパーマネントロスの原理を知ることは大切ですが、毎回細かな計算をするのは面倒ですね。
そんな時は、インパーマネントロスを自動で計算してくれるサイトがあります。
価格の情報の入れると,ロス率や$500分づつ投資した場合の金額差を出してくれます。
※現在このサイト利用できなくなっています。
ぼくは自動計算がいいや
インパーマネントロスについての動画
流動性プールの仕組みは、なじみがないために理解が難しいと思います。
今回、Youtubeで暗号資産関係の情報発信をしているクリプト3.0の運営さんに許可をいただきましたので、動画を掲載させていただきます。
非常にわかりやすい動画ですので、気になる方はぜひ見てください。
この動画わかりやすいね!
まとめ
DeFi(分散型金融)は多くのチャンスがあると同時にリスクも存在します。
今回解説したインパーマネントロスもDeFiのリスク要素の一つです。
今後はデジタル資産に対する投資やDeFiは大きく拡大していくことが期待されています。
デジタル資産への投資を考えている方は、きちんとリスクを理解した上で行動いただければと思います。
今後もDeFiやDEXなどの情報を探求して、役立つ情報をお届けしたいと思います。